投資と詐欺!
先日、ニュースで「マルチのカリスマ」と言われる男を含めた男女7人が金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いで逮捕され、世間を賑わしました。
逮捕容疑は、東京や沖縄、福岡で開いたセミナーにおいて、金融商品取引業の登録がないのに、異なる市場で取引されるビットコインなど仮想通貨の価格差を利用して運用益を出す「裁定取引(アービトラージ)」に出資すれば配当金を得られるとして、客を勧誘していたとのことです。
容疑者らは国内各地でセミナーを開催し、海外に設立した「ジュビリーエース」や「ジェンコ」などの「ジュビリーグループ」が運用するとした仮想通貨を使った金融商品に投資すれば、「月利2.5~20%」などの高配当が得られるとうたって勧誘していたといいます。さらに「人工知能(AI)を使ったシステムはシンガポール大卒業の優秀な人物が開発した」などと説明していた他、新規会員を集めると「出資額の10%の紹介料」を受け取れるなどとも宣伝して、いわゆる「マルチ商法」の手法で出資者から約10万3000件の契約を獲得していたとされています。これらのセミナーで言葉巧みに勧誘する主犯の容疑者は出資者から「マルチのカリスマ」と呼ばれていた、とのことでした。
ネットを見ていると、このような類の宣伝広告が良く目につきます。この事件では、「月利2.5%~20%」を謳っていたようですが、そんなに儲かるのであれば、自分たちだけでこっそりやるはずです。それを、これ見よがしに、「皆さんにも、こんな方法があると教えたい!」と称して、クローズなセミナーを開催し、出資金を集めている訳です。
そもそも、誰でも月利20%も出せるのであれば、このコロナ禍のなか、日々の生活費に困るようなことは起きません。特に、今回はビットコインを利用した詐欺まがいのマルチ商法だったというところです。そもそも、ビットコインを始めとする仮想通貨を投資の対象と見ているところが問題です。「仮想通貨」は、サイバー空間において取引する際、利便性が高いので利用される通貨類似のモノであり、あくまでも取引の簡便性のために利用されるべきものです。
FXのように、各国の通貨を取引するようなものとは異なります。各国通貨は、その国の政府が発行する通貨で、その通貨に信用性があれば、高値で取引され、信用がなければ、低い額でしか取引されません。
一方で、仮想通貨は、通貨発行の裏付けがある訳ではありません。あくまでも、ネット上の住人たちの相互監視のうえで仮想通貨の取引がなされ、そういう意味でサイバー空間において信用があるに過ぎません。ただ、この仮想通貨が、現実世界において、換金できることから、投資の対象として利用されている訳です。
よって、政府等の裏付けがないものなので、信用がなくなれば、一気にその価値は下落するのです。しかも、データという状態で保有されるため、信用がないと、換金すら難しくなってきます。という訳で、私は仮想通貨を投資対象と見る風潮に甚だ疑問を持っているのです。
更に、今回の事件で、問題視されているのが、マルチ商法です。ネズミ講(無限連鎖講)と異なり、マルチ商法自体は世界(ほとんどがアメリカですが・・・)が認めているビジネススタイルで、いわゆる商品流通の外にあって囲い込まれた会員の間だけで流通するため、商品は確実に売れる仕組みになっています。そして、その会員獲得の方法が、マルチたる所以なのですが、親の会員が子の会員を勧誘することで勧誘フィーが貰える仕組みになっており、更にその子供が孫を勧誘すると、親には孫を勧誘したことによる勧誘フィーが入る仕組みになっている場合が多いのです。そうすると鼠算式に会員数は増える訳ですが、立ち上げ期に会員になった人間には下から上がってくる勧誘フィーや購入フィーが沢山入るので、儲かるのですが、後から加入した会員は子や孫が増えず、大した利益に繋がりません・・・。
そして、何より問題なのは、その商品が売れなくなると、そのマルチ商法自体をクローズ、今度は閉めてしまうのです。これでは、後から加入して商品を仕入れた人間からすれば、「騙された・・・」という事になってしまいます。
私は、マルチが全て悪いとは思いません。しかし、マルチはクローズな空間での取引のため、悪用されることが非常に多いビジネスモデルであることは間違いありません。
このような事件が起こると、「だから投資はダメなんだ!」と安直に思われる方が沢山おられます。しかし、それは間違いです。「投資」がダメなのではなく、「投資」と「詐欺」の区別がつかないのが問題なのです。勿論、投資なので、利益が出ない時は多いにありますし、損失が出る事だってあります。しかし、それは一つのやり方だけに固執するという、やり方が間違っているからです。
「投資」の基本は、「分散と集中」です。投資には「リスク」(危険)が付きものです。したがって、「リスク」は分散させなければなりません。そして、少しの資金では利益も少なくなります。よって、信用のおける投資先には資金を集中させることも必要です。
つまり、「投資」はバランスが最も大事だという事です。そして、このバランスは一朝一夕に身につくものではありません。地道に少しづつ投資をしていきながら身につくものです!このように「投資」を成功させるには、「投資」の専門家のアドバイスを受けながら進めて行くことが、成功への近道となります。久保田行政書士事務所では、「あんしんライフプラン相談室」を開設し、あなたのライフプランに合わせた「投資」等のアドバイスを行っております。今後のライフプランや老後の資金問題で悩んでおられるのであれば、是非、ご相談下さい。